某大手スーパーに行った時の話です。
よく行き慣れた近所のスーパーで、トイレに行きたくなり、
ささっと行ってささっと用を済ませた後に
事件は起きました。
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“流す”ボタンと間違えて”呼出”ボタンを押してしまった
間違えて押しちゃいました。
もちろん店員をおちょくってやろうなどという気持ちは微塵もなく、
気づいた時には僕の手はもう既にタッチアップしておりました。
反射的にってやつだと思います。
その事件現場となったトイレの呼出ボタンがこちら。
(場所が場所だけに写真をアップして恐縮ですが事件当日とは全く別の日の撮影のために入った時の写真です)
なぜ自分は反射的に押してしまったのか
写真を見てわかる通り、呼出ボタンは非常に絶妙な場所にあります。
良く言えば「押しやすい」
悪く言えば「紛らわしい」
“流す”ボタンというのはなく、タンク横のレバーを回します。
それでも、ボタンの上にはちゃんと「お客様へ」という3行に渡る説明書きがしっかり貼られており、
何より僕はこのトイレを過去に何度も利用しており、それまではちゃんと”流す”ボタンを押せていた。
(使い慣れたトイレです)
なぜ自分は今さら呼出ボタンを間違えて押してしまったんでしょうか?
それについてちょっと考えてみたい。
人の動作を分析してみる
まず人の動作から着目してみると、ボタンにおいては以下の2種類の動作があります。
1. “流す”レバーを使う(=水を流したい)
2. “呼出”ボタンを押す(=店員を呼びたい)
ここでこの2つの動作のうち、頻度が多いのは?
言わずもがな1の流すレバーでしょう。
しかもその2種類の動作頻度の差はおそらく歴然としており、
統計を取っていなくとも、超ざっくりと8:2くらいの割合じゃないかと言っても過言じゃないんじゃないですかね。
次にそれぞれの動作を行うときに、ユーザーはどこにいるでしょうか。
1の場合、たいていは便器の前に立っているかもしれません。
2の場合、意図的に呼出ボタンが必要になるようなパターンを想像しづらいですが、
座った状態で押せるのが一番理想的だと思います。
どちらにしても、ユーザーがいるであろう場所に大差はないので、
やはり使用頻度というのは大きな差別化要素だと言えます。
トイレのインターフェイスを分析してみる
続いてこのトイレのUIです。
前述の2種類の動作を実現するインターフェイスは全部で2つあり、
・タンク横の流すレバー
・壁側の呼出ボタン
です。
「位置的に」最も使いやすいのはどちらでしょうか。
レバーは後ろのタンクにあり、手が届きやすいとはお世辞にも言えないところにあります。
特にこのトイレの場合、便器と壁との間のスペースが狭く、ペーパーホルダーや壁の取っ手が奥へ一歩踏み込むのを難しくさせています。
それに対して呼出ボタンは優秀ですよ。
前と後ろどちらを向いていても「目に入るちょうどいいところ」にあり、
座っていても立っていても「手が届くちょうどいいところ」にあるからです。
次に「配色的に」最も目に留まりやすいのはどちらでしょう。
これは青信号のごとく、緑色に染まっている「呼出ボタン」が圧勝でしょう。
壁の白とボタンの緑のコントラストがはっきりしていて目立ちます。
それに対し、流すレバーはシルバーという地味な配色になっており、タンクの影と同化する始末です。
これは使用頻度とは真逆の配色ですよね。
しかも今時のトイレは便器側のレバーとは別に、壁のボタンやセンサーで流せる仕様も多く見かけます。
そのためこの「呼出ボタン」が「流すボタン」であってもおかしくないわけです。
さらに緑色は「安心・安全」という印象的な効果があるので、余計に「ついつい」を誘引します。
ここまで説明していると間違えない方が難しいような気がしてきました。
動作の優先順位を色と位置に反映させよう
というわけで
僕が反射的に呼出ボタンを押してしまったのはインターフェイスデザインに原因がありそうです。
まず背景に「流す方法はレバー以外に壁側のボタンがある」という常識的な感覚があること、
そして、呼出ボタンを「位置的」にも「配色的」にも押しやすいデザインにしてしまったこと、
この二つが相まって今回このような”お客のミス”を誘発させたんだと思います。
ぶっちゃけ以前から間違えて押しそうな気はしてました。
水を流すボタンなら無駄に押してしまっても大きな問題ではありませんが、
呼出ボタンを用もないのに押してしまうわけにはいきませんよね。
ユーザーは罪悪感に包まれるし、呼び出された店員からしてみればいい迷惑です。
(ちなみに僕が呼出ボタンを押してしまった時は店員さん来ませんでした笑)
この場合、
流すボタン → 呼出ボタンの位置に緑色
呼出ボタン → 取っ手より下の位置辺りに赤色
とした方が良かったかもしれません。
今回の教訓の一つは、「長い説明書き」よりも「色の印象」の方がずっと訴求力が強い、ということではないでしょうか。
Bad UIは巷に溢れているので観察していると楽しいです。